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SCA-7511Mk3パワーアンプの改良(5)

SATRIの改造も最終章へ突入。
やり残したチューニングの話、それから、電源改造の後半編です。



今回のメインの改造は、「電源電圧の高電圧化」です。
自作無帰還アンプの制作で得た経験から、終段FETの駆動電圧は、24Vぐらいが理想的だと踏んでます。
SATRIの無改造状態では、18V(バイアス回路のみ22V)となっています。これを、トランスを交換して電圧UPを図ります。
ただし、SATRI基板に付いているコンデンサが耐圧25Vなので、余裕を見て少し低めの23V程度を狙います。

さて、その前に、、、
軍曹さんからアドバイス頂いた改造をしてみましょう。
SATRI-ICのバイアス電流設定用のCRD(定電流ダイオード)を、JFETに交換です。
SATRI501.jpg

2SK117-BLのGS間に100Ωを挿入して、約3.6mAの定電流となるものを選別して、CRDと交換しました。
ついでに、定電流を受けているバイポーラTRを2SA1015-L/2SC1815-Lに交換しました。

TRですが、hfeが±10以内のペアを選別するのが望ましいと思います。
ここのhfeがずれていると、SATRI-ICの正負に供給するバイアス電流がずれ、SATRIのI/V変換電圧のオフセットの原因となります。
カニの場合、最も近い2SAと2SCのペアがhfe=288/232しか得られませんでした。
これだけhfeがずれていると、オフセット電圧は常用域(I/V変換抵抗1kΩの場合)で3mV、フルボリュームで30mV(I/V変換抵抗10kΩの場合)発生する計算になります。

まあ、DCサーボがI/V以降に入ってますので、終段出力はオフセットしません。アッテネータ切り替え時にプチプチノイズが発生するだけの影響ですので、このまま交換しちゃいました。


さて、交換した音を聴いてみましょう。


ん、高域の透明感が増して、より澄み渡った音になった気がします。
ただ、差はわずかですね。
SCA-7511はMk3になってからV5.2回路が追加されていますので、もともと音が良かったのかもしれませんね。
この方も、V5.2で音が良くなったようなことを書かれてますね。

あともう一つ。
アッテネータをNS-2BからSMMに交換してみました。
SATRI502.jpg

ビシェイSMMは最近見つけた抵抗です。音がVARに似てて、使いたくなっちゃいました。
で、音は、、、
激変レベルです!
めちゃくちゃ響きが豊かになって、色彩感が増しました。低域も増えた感じ。そして、すごく、繊細で優しい音。
かといってヌルい音なわけではなく、分解能も少し上がっているようです。

ちょっと音が平面的になった気がしなくもないですが、これはエージング後に再確認しようかな?

NS-2Bが暗めな音のせいもあり、よけいに激変したように感じたのかな?
それにしても抵抗一本で、こんなに音が変わるとは!

これから抵抗一本一本をエージングしないといけないのが大変なんですが、
それも頑張ろうという気にさせる、素晴らしい音です。
皆さんもSMMを是非使ってみて下さい。


さて、これで、詰めの甘かった箇所は、無くなったかな?
強いて言えば、サーボ用のオペアンプをOPA827からLH0032かTHS4631あたりに交換する、という案も残っていますが、
安定性の面で不安があります。自作無帰還にLH0032やTHS4631を使った時は、回路をいじらないと発振してまともに動きませんでした。
それに、オフセットドリフトやノイズの面で、OPA827には敵いませんしね。
SATRI-V10を使うという手もありますが、経済事情により、保留です。(^^;


では話を電源に戻しましょう。
まずはトランスの交換から。

しばらくぶりにRSでトランスを探してみると、新しくBlockというメーカーのものが出てますね。
80VA、一次側0-115V×2、二次側0-24V×2、外径約90φという、SCA-7511にインストールするのに丁度良いものがあったので、それをチョイス。
到着したトランスを見てみると、、、
SATRI503.jpg
お、Made In Germanyとあります。ドイツ車に憧れているカニとしては、なんか嬉しい(笑)
付属部品も一通り揃っていて(安いトランスは固定部品が付属してなかったりしますよね)、ゴムシートや抑え板が厚めで、いかにも制振してくれそうな感じ。
古くからあるNuvotemのトランスよりも、各部がしっかり作られているようです。

ところで、トロイダルトランスメーカーの中で音が良い最高峰というと、plitronということになるのかな?まだこれは使ったことが無いんですよね。
今回も経済事情で却下です。。。

トランスをケースに取り付けた後は、電源基板の改造です。
出力電圧を18Vから23Vに変更しました。カニ式電源の回路図のうち、電圧設定用の抵抗を、
R3=2kΩ/R4=750Ω
としました。今回使ったLED(秋月SLP-7131F-81H-S)は、実測Vf=1.9Vで、この組み合わせでおよそ23.2Vの出力となります。
あと、R3抵抗を変更したので、C3を47pFから22pFへ変更し、LPFのカットオフ周波数を元の値付近になるよう調整しています。
これで18V⇒23Vへの変更は完了。
そして、このままだと信号系の電源ラインが23Vとなって、オペアンプを壊してしまうので、そのラインからバイアス設定用の電源ラインに接続し直します。

ここまでの改造で、こんな感じになります。
SATRI505.jpg

次の改造のために、なるべく低背化して実装しました。
ニチコンKWも、いったん撤去です。

あ、あともうひとつ。
終段FETの電源を、バイアス設定用の電源ラインに繋ぎ直します。
SATRI504.jpg

これでようやく、終段FETが23Vで駆動できるようになりました。


よし、改造はあと少しだ!
次は信号系の電源ラインのための、18V電源の作成です。

実装スペースが限られてるので、これは23V電源の上に積み重ねて実装します。
一次平滑ラインは、23Vの一次平滑ラインと共通。
さっき取り外してしまった、ニチコンKWをこの基板に載せてあげます。

二階建てにすると、一階部分にアクセスすることが容易にできなくなります。
失敗は致命的なので、慎重に、慎重に、作業して、と。。。
SATRI506.jpg


さあこれでようやく、SCA-7511Mk3の最終形態になりました。
改造を始めてからの時間は短かったけれど、なんだかとても長かったように感じますねえ。。


ドキドキしながら電源ON!
各部の電圧は、、、正常。良かった。。。
そして音を聴いてみます・



少し予想外な変化をしてくれました。
予想では、より鮮やかに音がキレてくれるのかな?と思ってたんですが、、、
第一印象は「落ち着いた、端正な音になったな~」でした。
音の強さがますます取れて、繊細で、悪い言い方をすると、素っ気なくなった感じです。

しかしよくよく聴いてみると、これは「音の滲みが無くなった」という変化をしているようです。
例えば、改造前のボーカルは(終段FETの交換で、ずいぶん繊細にはなったものの)まだ少し、厚く強い声で聞こえていたんですが、その厚みというのが曖昧さを伴った滲みのような感じで、少し気になってたんです。
それが、改造により無くなって、素の声として聞こえてきます。
シンバルの音なども、改造前は強い塊として聞こえていたんですが、改造により、アタック音と残響がますます分離するようになりました。
これにより、少し分解能も上がったように聞こえます。音数が少し多くなったようにも聞こえます。

厚くて強い音を好まれる方にはお勧めできない方向への変化ですが、
カニはこの音、大好きです。聴き疲れせず、音楽にいつまでも浸ってられそう。

あと、低域が締まって下に伸びた気がしますが、トランスのせいかな?


もう一つ、嬉しい変化がありました。
ハムが消滅しました。

今までは、スピーカーに耳を近づけるとわずかにハム音が聞き取れていたんですよね。
実際に音楽を聞く時には、全く気にならないレベルなんですが、
アンプのヘッドホン出力にMDR-EX800STなどの高感度イヤホンを繋いで聴くと、このハムが耳障りで、「SATRIは高感度イヤホンとの相性が悪いな。。。」と思ってたんです。
(ちなみに、ハム音には個体差があるようで、SATRI購入時に試聴したアンプの中にはハムが無いものもありました)
これが、改造によって、解消しました。電源投入後のバイアスが安定していない間は、ハムがまだ聴こえますが、
バイアス安定後は、イヤホンを繋いでも全くの無音です。
これでSATRIもヘッドホンアンプとして使えます。

このハムですが、恐らく、バイアス回路を非安定な電源(一次平滑ライン)で駆動していたために発生していたんじゃないでしょうか?SCA-7511は、Mk3になってからイアス電源の非安定化がなされているので、Mk3特有の現象な気がします。
しかし、今回の改造によりバイアス電源を安定化したことで、それが解消したんだと思います。
(それから、多少、トロイダルトランス化も効いてるかもしれません。)

全て良い方向の変化ですね。やった!
一つ、音とは関係ない問題が出ちゃったたんですが。。。発熱がすごいことになってしまいました。
ケースの底面と、18V系のヒートシンクがアッチッチです。
ケースに穴開けぐらいはしとかないと、真夏に壊れちゃいそうだなあ。。。

よ~し。
これで、SATRI改造でやりたかったことは、一通り終わりました。満足。満足。
SATRI507.jpg

あとはエージングを待って、音を評価するだけかな?

もっと手を加えるならば、電源トランスを左右で分離したり、出川式電源に変更したり、、、など、まだまだ残されている方法がありますが、
これ以上やるとケースを大型のものに変更しなければなりませんからねえ。。。
小ぶりで愛らしいケースにおさまる範囲の改造で、終わりにしておきましょう。

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プロフィール

カニ

Author:カニ
DACやアンプの自作がメインの、オーディオブログです。
自作基板の頒布も行なっています。カテゴリ「頒布」をご覧下さい。

ニアフィールドリスニングや、ポータブルオーディオにも手を染めたいんですが、いつになることやら。。。

繊細で柔らかい音
実在感のある音
を目指して、
ゆっくり、ゆっくり、潜航中。

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