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終段無帰還アンプの制作(5)

少し前に試作した終段無帰還アンプですが、
その後、少しづつ改良を加えていました。
ここらで他のアンプと音を比べてみるか、と思い、試聴したところ、


これは、かなり「ヤバイ」アンプになるかもしれません。。。



まずはいろいろやってた話です。
前回の検討だとか、その後のチューニングで、無帰還アンプで音を良くするポイントがだんだん分かってきました。

終段無帰還アンプで一番はじめにボトルネックになるのは、終段の動作のさせ方です。
これをなんとかするのが、何よりも大事なようです。
カニはまず、終段ドライブの高精度化のためにオペアンプドライバを採用しています。
ただしそれだけでは不足で、前回の内容と一部重複しますが、
①終段FETの電源電圧をなるべく上げる。
②ソース抵抗をなるべく下げる。
③バイアス電流をなるべく上げる。
この三つが全て音に効きます。分解能や情報量が上がります。
まだ試せていませんが、理想は、
「終段FETは24V以上で駆動し、ソース抵抗は削除、バイアス電流は400mA以上」
あたりではないかと思っています。
(あ、もしかしたら低電圧・低バイアスでもOKなMOS-FETとかがあるのかもしれませんね。今は2SK2586/2SJ555を使っています。)

上記に対応したとして、次に問題となるのは、FETの手前にあるオペアンプ回路(FETドライバ+サーボ)の品質。
何も対策しないと、オペアンプ臭い塊感のある音になってしまいます。
解決策は
④オペアンプになるべく高音質なものを使う。
⑤サーボ前段にLPFを挿入する。
この二つになります。

④について、THS4631というオペアンプが事前に見つかっていたのは幸運でした。
これによって、音のクオリティが飛躍的に上がりました。
例えばLH0032を使った場合と聴き比べてみると、
LH0032のほうが音の粒が大きくて力強いので、一聴すると音が良いのですが、少し聴き疲れるところがあります。
かたや、THS4631は、音の粒が見えない位小さく、そして異様に定位が明確です。S/Nにも優れています。
音楽が落ち着いて聞けます。
なぜなんだか、本当に不思議なんですが、このオペアンプは反則的な音を出してくれるんですよ。
唯一の欠点は、ピラミッドバランスで低域がややふっくらすることでしょうか?これはわずかな色付けとして感じます。

また、⑤について、(これは個別に実験していなくてカニの推測ですが)
一般的なサーボ回路は一次LPFとして働きますが、オペアンプに音楽信号がそのまま入力されてしまい、オペアンプのクオリティや使っているCRが音に影響するのではないかと思っています。
オペアンプに音楽信号が到達しないよう、事前にLPFで信号を平滑しておいたほうが、音に影響が出ないのではないでしょうか?
前回書いたこの回路図のC1・C3・R14・R15のような二次LPFの構成にすべきです。

さて、これらの改良を取り入れるべく、実験基板を改造しました。
これで、この回路図の前段にオペアンプのゲインバッファを加えたような回路になりました。
NonNFB101.jpg
NonNFB102.jpg
前回から見た目はあまり変わってませんが、裏側は追加したCRでジャングル状態です。

終段は藤原さんのオペアンプ式ディスクリート電源で19V駆動しており、
バイアス400mA/ソース抵抗0.1Ωという状態です。
電源電圧をもっと上げたり、ソース抵抗を削除したり、というのは、電源を一から作り直す必要があるので今回は諦めました。
オペアンプはカニ式フィードバック電源で15V駆動しています。オールTHS4631です。
画像ではオペアンプが5個ついていますよね。本当は初段のゲインバッファ(5倍)は要らないので4個で組むことができて、そのほうが音も良いはずなんですが、
思うところがあり、あえて5個で作りました。

ちなみに、THS4631をサーボ段に単純に取り付けただけだと、発振で誤動作します。
そのせいで久しぶりにTRを飛ばしてしまいました。。。
その復旧やら対策やらに数日を要したんですが、それはまた別の記事で。。。


さて、このような状態で、カニ家の他のアンプ達と聴き比べてみました。
A.LH0032アンプ
B.SATRIアンプ SCA7511Mk3
C.今回の試作アンプ
です。

まずはAから
相変わらず音場が広大で横方向の定位に優れています。
そして音が美しく響きます。
音が響く、ということに関してですが、今まではAの響きがリアルでこれに比べてBCは響きが少なくて音が減ったような印象を持っていたんですが、
このアンプはノンフィードバック電源+小容量コンデンサという電源構成なんですよね。
フィードバック電源を開発した時に、ノンフィードバック電源は音が拡散して美しく響くことが分かりました。
ですから、BCの響きが少ないんじゃなくてAの響きが多い、というのが正解のようです。

音質は、大変柔らかいです。これについてもノンフィードバック電源が結構影響していそうです。

しかし残念ながら奥行き方向の音場が今ひとつで、実在感が出てきません。


さて、次はB
音場が奥行き方向に展開し、一気に実在感が出てきます。
音質は固くも柔らかくもなくナチュラル。
しかし分解能が少し低くてあいまいです。若干、音が減ったような印象があります。
これは恐らく、電源を強化することで大分改善するのではないかと思います。そのうち改造しないと。
あとまだボリュームのままでアッテネータ化してませんからね。

なんとなく、落ち着いた弾力感のある音のように感じます。


最後はC

これは、他の二つのアンプとは音の出方がだいぶ違うので、最初は違和感すら覚えました。。。

分解能は、Aと同等以上にあると思います。そしてこちらのほうが定位が明確で、
さらに奥行き方向の音場もB以上にしっかりしていますので、すごく実在感があります。
そして大変に繊細な音です。音の粒が極限に小さいのではないかと思えます。
耳を指すような塊感のある音は一切出ません。
このアンプを使ってボーカルものを聞くと、最も唇の動きがよく分かります。
音質は、やや柔らかめ。ただこれは、上流機器であるPCM1704DACの音がそのまま出ている気がします。

・・・というわけで、手前味噌になりますが、ABよりも良い音がします。あえて欠点を書くと
低域がややふっくらしてしまう、ということ(THS4631の音のようです)と、S/Nがやや悪い、ということ。
S/NはAが最も良く、次点でB、それより少しCが劣る、という感じ。
CのS/Nは初段オペアンプ(5倍ゲインバッファ)のノイズが支配的なようで、ここは改善の余地がありそうです。


いやあ、このアンプ、現時点で既に高いクオリティを持っていることが分かりました。
もうカニ家のメインアンプとして本格稼働させてもいいんじゃないかという位です。
しかしまだ、盛り込めてない要素があります。
一番大きいのは、「ソース抵抗の削除」。
これは回路規模が大きくなるんですぐにはできないのと、前回解決策を思いついたもののひとつ欠点を見つけてしまったこともあり、別記事で取り上げたいと思います。

それからもう一つ、
このアンプに、より汎用性を持たせるために「電子ボリューム」を追加したいんです。
そうすればプリメインアンプとして使えますからね。
で、今のところの電子ボリュームICの候補は、「MUSES72320」または「MAS6116」。
どちらのICでも追加でオペアンプが必要ですよね。それで今回、あえてオペアンプを4個ではなく5個で、一つ余分に追加して評価してみたんです。
評価結果からして、THS4631を使えば、電子ボリュームを搭載しても十分に音のクオリティが保てそうです。
しかし、電子ボリュームというデバイスを使うのは、カニにとっては全く一からの勉強になりますから、時間がかかりそう。。。

このアンプ、とても良い音がしますから、是非とも基板化して多くの方に聴いて頂きたい、と思っています。
終段無帰還、という手法は、本当に素晴らしいです。
ただ、煮詰めるのにもう少し時間が必要みたい。
数ヶ月スパンの長期計画としてコツコツ続けていきましょう。



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プロフィール

カニ

Author:カニ
DACやアンプの自作がメインの、オーディオブログです。
自作基板の頒布も行なっています。カテゴリ「頒布」をご覧下さい。

ニアフィールドリスニングや、ポータブルオーディオにも手を染めたいんですが、いつになることやら。。。

繊細で柔らかい音
実在感のある音
を目指して、
ゆっくり、ゆっくり、潜航中。

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