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エミッタ抵抗レス(ではなくなった) 終段無帰還アンプ 2号機の製作(5)

今回も終段素子の吟味です。
EPC2031は手に負えない特性でしたので、別のメーカーのGaN FETと、それからSiC FETの聞き比べをしてみました。
ReAmp2_5_1.jpg


ようやく、GaN素子の音が聞けました。



前回のEPC2031よりも温特が穏やかで、ON抵抗高めで安定してそうな素子としてTP65H050を選んでみました。
検索すると、既にオーディオアンプとしての実績があるようです。

で、今回は素子を3つも飛ばしてしまいました。
追加発注の憂き目に、、、
結局、ソース抵抗(エミッタ抵抗)レスは泣く泣く諦めて、ソース抵抗0.22Ωを挿入すると、バイアス電流が安定しました。
ReAmp2_5_2.jpg

数が足りなくなってしまったので、とりあえず-23V側のFETは2SK2586のままです。

この状態で、下記三種類の音を聞き比べてみました。
A. 2SK2586 (Renesas)
B. SCT2120AFC (ROHM)
C. TP65H050 (Transphorm) +0.22Ω、-23V側は2SK2586

Bはパワーアンプによく使われているSiC FETですね。
しかし、今回の回路との相性はイマイチでした。
Aと比較して、非常に端正で冷静な音になります。
ただあまり良い印象ではなく、音が遠景で淡々と鳴っている感じです。
特に気になるのが低音で、量が減り整い過ぎてしまいます。
全体的に、音量も小さくなります。

一方、Aは音に独特の荒々しさがありますが、
ピラミッドバランスかつ中音域と低音域に暖かみと勢いがあり、音楽がより楽しく聴けます。

さて、ではCはどうでしょう?
これは、2SK2586の音調に近いピラミッドバランスを維持しつつ、全域で音が整います。
SiCのように端正と言っても良いですが、淡々と鳴るのではなく、色彩感や暖かみがあります。
高域も2SK2586のような荒さが無いです。分解能も高いのですが、ソース抵抗のせいかわずかな曇りを感じます。(ソース抵抗の吟味が必要)
低音の質感・中域のクリアさは、三者の中で最高です。

というわけで、三者の中ではTP65H050を採用とします。

さて、GaNが何故こんなに安定しないのか、Vgs特性を測定してみました。
100mA~400mAの領域のVgs-Idss特性を比較してみると、以下となりました。
2SK2586:約0.4Ω
TP65H050:約0.1Ω弱
SCT2120AFC:約5Ω

GaNのオン抵抗が最も小さく、バイアス用のVgsを精密に制御しないといけないのですね。
また、温特も急峻のようで、Vgs一定で測っていても、すぐにドレイン~ソース電流が暴走します。
なので、秒オーダーの時定数で設計されているDCサーボ・バイアスサーボでは、制御しきれないようです。
少なくとも、ソース抵抗は外せません。
今回は抵抗値を0.22Ωをしてみましたが、バイアス電流が数秒周期でフラフラとして収束せず、ギリギリ安定している感じでした。
抵抗値は0.3Ω程度に上げることにします。

一方のSiC素子は、オン抵抗が大きすぎて、無帰還アンプには向きません。
この特性が、端正な音で音量も小さくなってしまったことに表れていた、ということでしょう。

最後に、EPC2031の使用に再チャレンジしてみました。
今回はソース抵抗0.47Ωを入れてみましたが、、、
ReAmp2_5_3.jpg
やっぱりまた飛ばしてしまいました。。。
終段素子はTP65H050でいきます。
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GaN MOSFET

はじめまして。
以前からこちらのブログは存じていたのですが、ずっと更新がなくて気になっておりました。

私もGaN MOSFETが気になっていたので、興味深く拝見させていただきました。

データシートではTransphormよりもEPCの方が正の温度係数がきつそうな感じではないのですが、それでも燃えてしまうのはオン抵抗が極端に低いからでしょうか?
EPCのデータシートではSOAがDCまで書いてないので、スイッチング向けなのでしょうけど…

私の方では、GaN FETを電源のパワトラ部分に使ってみて、DACのリファレンス電圧用では柔らかさと自然さを感じるものになりました。
レギュレータなら、EPCでも暴走は問題にならないのではないかと思います。

レギュレータの回路も、通電してみんべさんのものを基にインバーテッドダーリントン化したものと、LA4さんが発見されたオンセミの1SMBツェナーの組み合わせて絶品ともいえる音の電源になりました。
オペアンプの好みなどから察するに、カニさんの好みの音なのではないかと思います。
最近ブログを書き始めたので、URIにブログのアドレスを入れましたので、興味がありましたらチェックしてみてください。

Re: GaN MOSFET

Sさんはじめまして。
コメントおよび情報、どうもありがとうございます。1SMBツェナーの件、初耳です。LEDとツェナー替わりに使うより良いのでしょうね。
次回Digikeyを利用する際に購入してみますね。

インバーテッドダーリントンの件もありがとうございます。
JFETを定電流回路として使うと音が良くないと私は捉えており、インバーテッドでその影響が低減するんでしょうね。

GaNについてはまだまだ悪戦苦闘中です。EPCのほうはVgs耐圧も低すぎるので、ちょっとアンプ用途では厳しそうです。
仰る通り、電源にGaNを使いたいなと思っている今日この頃です。

ブログ参考にさせて頂きました。
音の探求のモチベーションが上がりました^^
今後もよろしくお願いしますね。

No title

カニさん、こんばんは。

1SMBはLA4さんが金田先生にも紹介したいと仰ってる程音がいいです。
2SK168や2SC1216、2N4033を使うことでも音場の表現に違いがありました。
これらは樫木総業で購入できます。

2SK168は高周波用のため、定電流回路で使っても音が鈍りにくいと感じています。
私はさらに銅箔テープでシールド(ガード電極のイメージ)して使っています。
これでメタルCANパッケージに近い音になっているようです。

熱結合についてですが、通電してみんべさんの方法はいかがでしょうか。
https://ecaps.exblog.jp/28461538/

Re: No title

Sさん、追加の情報どうもありがとうございます。
私はあまりTr系の聞き比べをしていないので、参考になります。
樫木確認してみますね^^

熱暴走については回路の変更で問題解消しました。
しかし通電してみんべさんのブログは毎度参考になりますね。ありがたいです。
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プロフィール

カニ

Author:カニ
DACやアンプの自作がメインの、オーディオブログです。
自作基板の頒布も行なっています。カテゴリ「頒布」をご覧下さい。

ニアフィールドリスニングや、ポータブルオーディオにも手を染めたいんですが、いつになることやら。。。

繊細で柔らかい音
実在感のある音
を目指して、
ゆっくり、ゆっくり、潜航中。

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